基礎講座・第3回:行政資料から学ぶ-基礎資料としての国土交通省の「雨水浸透施設の手引き」を読む
浸透設備の設置場所「どこに浸透設備を設置するか」
【参考資料】:雨水浸透施設の整備促進に関する手引き(案)
:PDFは、こちらをご覧ください。
今回は、第3回として、主な浸透設備の設置場所について学びます。
浸透設備は、水の流れという視点から、地形、地勢に応じて設置することになります。手引きでは、30Pで以下のように解説しています。
(1) 施設配置の考え方
対象流域において流出抑制効果を効率的に発揮させるには、雨水浸透施設の組み合わせ等に十分配慮して、可能な限り設置することが望ましい。その際、急傾斜地崩壊危険区域等の浸透不適地を明確にする必要がある。また、湧水保全の観点からは、雨水浸透施設をできるだけ地下水涵養域に分散して数多く設置することが望ましいが、河川の平常流量を増加させるには、長期的な観点から取り組む必要がある。限られた予算を有効に活用し、浸透施設の効果を早期に発現させるためには、例えば、地域のシンボル的な湧水の再生・保全を第一ステップとして取り組むことが望ましい。その場合の雨水浸透施設の配置方法を湧水タイプ別に表4-1 に参考として示す。
野川の国分寺崖線は、この崖線タイプという区分になるでしょう。もちろん、多摩地区には、多くの谷戸も存在しています。水みちを把握して、効果的に配置することが重要となります。
さらに31Pでその適地として、以下のように述べています。
(2) 設置対象区域(浸透適地)の設定
雨水浸透施設は、地下水の位置、表層土壌の透水性、斜面崩壊及び地下水汚染の誘発等により、その設置対象区域が限定されていることから、浸透可能な区域を設定して設置する。
浸透適地・不適地を判断する目安の例を表4-2 に示す。また、地方公共団体または総合治水特定河川流域で、浸透能力マップが作成されている場合はこれを活用する。
当然、小金井でも下水道課から、市内で設置が不適である地域(合流、分流浸透禁止地域)を指定するマップが提示されています。以下に掲示しておきます。大きなPDFをご覧になりたいかたは、こちらからダウンロードしてください。
さて、浸透設備というと小金井の場合、はけにある多くの湧水を守っていくためという印象が強いかもしれませんが、その目的は、それだけには限りません。第4回目では、浸透設備の機能と効果、目的を知る(基礎知識としての合流式と分流式下水道を知っておく)を講義テーマにする予定です。
また、上記の小金井の下水道エリアマップを見ると小金井市内には、分流式(グリーンのエリア)と合流式(白のエリア)の両エリアがあることがわかりますが、かなりのエリアが合流式ということがわかります。それぞれの利点や課題などを知るためにも下水の基礎知識としての「合流式」と「分流式」の下水道とはどのようなものかについても知っておく必要があります。次回の講座ではそうした内容にも触れる予定です。