雨水浸透学習:「基礎編:行政資料を読む」その4

基礎講座・第4回:行政資料から学ぶ-基礎資料としての国土交通省の「雨水浸透施設の手引き」を読む

雨水浸透設備の設置目的とは

【参考資料】:雨水浸透施設の整備促進に関する手引き(案)
:PDFは、こちらをご覧ください。

今回は、第4回として、浸透設備の設置目的について学びます。

雨水浸透設備の設置目的

地下水の滋養効果は良く知られているかもしれません。小金井では、はけの湧き水などのために浸透桝をという意味で設置をしたご家庭も多いかもしれません。しかし、案外しられていないのは、屋根からの雨水でなく、道路などからの下水に流れる雨水の道路浸透設備かもしれません。もちろん、これも地下水の滋養効果という意味合いもありますが、それ以上に汚濁負荷削減効果として示されている目的のためでもあります。

下水道が「合流式下水道(汚水と雨水が一緒にながれる形式)」の場合には、雨水が道路などから下水に流れ込む際に汚濁物質を除去して、浸透させるための設備でもあります。ただ、大量の雨が降れば、浸透可能量を超えて、汚濁物質も含めた汚水が下水処理場以外にも河川などの下水排水口から、河川に排出される可能性があります。当然全ての汚濁物質は除去はできませんから、下水道には、さらにフィルターとなる設備が排水口より、手前に設けられているようですが、その効果と機能については、別に調べていきたいと思います。

道路浸透桝の設置目的としては、いくつかの目的がある中に、上記のように「合流式下水道の改善」が掲げられている理由です。

小金井市の場合は、合流式の下水道エリアでは、この目的で道路浸透桝が設置されています。幹線道路には、道路課が道路建設時に設置し、その他の市道などには、下水道課が設置しています。下水道課によれば、現在、こうした市道などの道路浸透桝は、120箇所以上設置され、年間で30箇所以上が増設されているとのことです。全て、道路にある雨水桝につなげる形式で設置されているようです。小金井市の実際の道路浸透桝については、別な章でご紹介します。また、道路課が設置している幹線道路の道路浸透桝についても、別途、調べてご紹介します。

とりあえず、この章では、基本的な下水道の仕組みをご理解いただくために以下に簡単な分流式と合流式の解説図(浸透設備については記載されていません)と合流式の場合の住宅と道路からの流れ込む下水の解説図を掲載しておきます。

分流・合流概念図

合流式の住宅と道路からの排水

この図では、住宅にも道路にも浸透桝はありませんが、住宅の場合は、雨どいからのラインが敷地内の雨水浸透桝に、道路の場合は、道路排水(雨水)桝に隣り合わせて、道路浸透桝が設置されることになります。もちろん、道路浸透桝は、その一部のみが地下浸透する仕組みです。ただ、大量に雨が降れば、汚濁物質は、浸透することもなく、合流式の場合は、汚水と一緒に下水道に流れ込むことになります。

これだけを見ても、一体、どの程度までの道路浸透桝が必要になるのか?または、実際の浸透させる際に汚濁物質を濾すためのフィルターなどの清掃などの保守管理は、どのようにしていかなければならないのかは難しい問題です。この手引きもその点に触れ、どの程度の計画設置が必要か、保守管理はどの程度しなければならないのかについても述べています。次の講習では、その設置計画に必要な調査、雨水量や現状の汚濁物質の排水程度などの判断の仕方についての章を見ていきます。また、並行して、実際の小金井市の道路浸透桝調査も開始しますので、そちらもご覧ください。

>その3へ戻る・その5へ・小金井市の道路浸透桝調査へ

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