新シリーズ:傍聴非常事態宣言の第2弾です。
最初にご紹介するのは、平成28年から傍聴してきた「社会教育委員の会議」です。きっかけは、当時の委員の方から、三者合同会議での講演を依頼され、この会議に初めて参加したことからでした。この会議は、図書館や公民館などの審議会と同様に小金井市の社会教育(小金井市では生涯教育となります)を全般に審議するための会議で有識者と関連団体、公募市民からなる委員の会議です。この会議の委員は、社会教育委員の設置に関するこちらの条例で定められています。
社会教育委員の会議による提言とは
先ず、この会議が審議し、提示してきた提言をご紹介します。様々な審議をしていく中で「提言」としてまとめられるものは、よりその必要性が高く、緊急性も高い施策であることは言うまでもありません。この会議の最も新しい提言は、市役所の公式サイトのこちらからご覧いただけます。内容は、「生涯学習支援センターの機能の実現について」というもので平成25年に提言として発表されています。以下に簡単に内容の一部を転載して、ご紹介しましょう。
「生涯学習支援センター機能の実現について」という提言を知る
この提言は、平成25年8月にこの社会教育委員の会議と図書館協議会、公民館運営審議会という3つの審議会から、小金井市教育委員会への提言です。先ず、「センター機能の実現」という内容から、どのような機能をもったセンターの実現を求めているのかをご紹介します。4つの機能を提示しています。
<転載、部分>
2.生涯学習支援センターの機能について
生涯学習支援センターには、以下の機能が必要と考えます。
(1) 様々に分散している学習情報、スポーツ情報、各種学習団体の情報、行政・教育機関の情報等を集約(情報の収集)し、整理して、最新の情報の共有化を図り、それを必要とする市民・団体に提供する機能。
(2) 市民・団体の多彩な学習活動を継続的に支援し、その成果を地域社会に還元する機能。
(3) 生涯学習を通じて家庭・地域・学校等の連携をはかり、市民・団体間の出会いと交流を支援する機能。
(4) 市民・団体及び行政との協働によるまちづくりを生涯学習の側面から支援する機能。
<転載、以上>
非常に素晴らしいセンターのようです。センターというからには、組織、機関のようなものを設置するという提言です。6年以上も前にこうした提言がなされました。しかも、この提言には、行政に対してもその実現のために以下の内容を付け加えています。同様に転載してご紹介します。
<転載、部分>
3.行政に求める役割について
生涯学習支援センターの機能を実現するために、以下のことを求めます。
(1) 多様化する市民の学習ニーズを的確に把握し、生涯学習全般にわたって企画、調整、助言のできる職員を確保し、生涯学習行政を担う人材を安定的に配置し、あわせてその育成に努めること。
(2) 生涯学習を支援するセンター機能を市民との協働で実現に努めること。
(3) 既にある社会福祉協議会の市民協働支援センター準備室やコミュニティー文化課との連携を図ること。
(4) 生涯学習支援センター機能の実現にあたっては、市民の意見を反映することのできる場を設けること。
<転載、以上>
センターといっても多くの予算を必要とする実際の施設の設置や組織の設置ではなく、そうした機能を知識豊富な職員や人材の配置や市民と協働で実現するとすることさらには他の部署で同じような機能をもっている「市民協働支援センター」「コミュニティー文化課」との連携を促すことで実現をするようにとしていることが分かります。このことが具体化されるためにより実際的な行政の役割を提示していることがわかります。ここまで丁寧な提言なら、実現の可能性もあると思えます。私も実際、平成28年にこの会議を傍聴するようになる前にこの提言やその成立に関連するそれ以前の会議録を閲覧して、予習して、会議の傍聴に臨んだ時のことを思いだします。
そして、この提言を実現するためにその後、第3次生涯学習推進計画にはこの検討が盛り込まれこそすれ、一向に実現に向けて進まない行政の計画立案・事業化実態がありました。これに対して、4年後の平成29年に会議内でこの件の実現への討議することを行政が諮問することになります。詳細は、この時期の同会議の会議録(平成29年度会議録:平成年4月から平成30年2月までの全8回)をこちらからご覧ください。
その8回の結論からまとめると委員の先進的な生涯学習支援センター的な機能の視察などで見聞きした事例は、小金井市の行政(生涯学習課)としては、独自のセンター機能の実現は人的にも予算的(必要性を説いて、予算を獲得する)にも難しいという状況の中で、せめて実際に生涯学習課の関連したりした中で実施している学習活動(公民館など)や市内の市民活動での学習活動などを独自のWebsiteなどで発信したりするのは難しいかもしれないが、小金井市の公式サイトの生涯学習課のコーナー内をより見やすく、情報収集しやすることで実現可能なのではないか?その具体化もこの会議で討議して、決めていければというものでした。結果、8回(1年をかけて)の会議で以下のような生涯学習課のコーナーの改善が提示され、連携するとした「市民協働推進センター準備室」や「コミュニティー文化課」(同課で作成している市民活動団体登録リスト(PDFファイル)」との連携して、情報提供ができるようにするという話になりました。丁度、同団体リストが平成30年に登録更新されるのにタイミングを合わせて、コーナーのリニューアル公開が実現できればとなりました。以下は、第7回の会議で資料として提示されたそのコーナー概要図(改訂前から、改訂後へ)です。
関係団体のコーナーから、団体一覧という部分から、市民活動団体リストの情報にアクセスできるようにするという案です。提言からは、かなり程遠いとしても、一応の人的、予算的な限界という判断でした。実は市民活動団体リストは、その後平成30年12月にコミュニティー文化課から公開されました。こちらをご覧ください。当然、遅くとも、このタイミングでは、生涯学習のコーナーも改訂される計画と思っていました。
ここからが課題の一部です。実は、その次の期にあたる平成30年度の社会教育委員の会議では、その後、この期の最終回の平成31年2月の会議までこの生涯学習支援センター機能への第一歩としての生涯学習のコーナー改訂は議題に上がりませんでした。後は行政が作業をするのみというわけで、話題にもならなかったのです。最終回の前に不安になった私は、直接委員長にどうしてチェックできていないのか、是非議題に入れて欲しいと最終回の前の会議後に直接、お願いしました。結果、最終回で行政への確認がなされ、平成30年度中(平成31年3月末まで)には、HP改訂がなされるという行政側の報告を聞くことができたのです。傍聴していた私としては、ようやく実現かという思いでした。どんなコーナーに改訂されるのか楽しみでした。今年度末、3月30日にどうなるだろう?この会議の委員の方々も楽しみなのでしょうか?そして、いよいよ、現在は、新年度4月2日です。新年度の小金井市公式サイトの生涯学習のコーナーは、こちらからご覧いただけます。以下にそのコーナーの画像を貼りつけておきます。
未改訂のままの「生涯学習」コーナーはどうなる?
残念ながら、改訂はされませんでした。上に掲示したようにコーナーは以前のままです。平成25年8月の提言から、約5年7カ月。もちろん、生涯学習支援センター機能の実現には程遠いのは実際ですが、その最小限での実現、その第一歩もまだ踏み出せていないというのが現実でした。次回の社会教育委員の会議は、4月22日の開催です。そこでこの現状が討議されるのでしょうか?私には興味のあるところですが、あなたは傍聴されますか?
平成33年(令和3年?)には第4次生涯学習推進計画も策定されるためにその策定準備には、今年には着手されるという時期です。なぜ、この優れた提言が実現できないのか?その課題は?審議会という場所だけでそれを望むのは無理かもしれませんが、数少ない市民が傍聴し、チェックするとともに協働していくための情報を得ることのできる場所を活用しないとこうした課題の実現は程遠いように思います。まず、傍聴し、知る。その上で市民としてできること、行政との協働を摸索することが必要なようです。次回は、「傍聴非常事態宣言」を解消していくための具体策、第1ステップとして審議会の課題提示とその改革への提案をしていきます。