小金井市も「気候非常事態宣言」なるものを宣言する?どんな形で?
年内に宣言をするということでパブリック・コメントを求め、世間に向けて、小金井市が宣言しようという「気候非常事態宣言」なるものがあります。以下の内容です。他の自治体でも次々と政府や東京都の音頭取りで、各自治体から発信される「ゼロカーボンシティ宣言」の小金井版です。東京都に認定していただくための一歩です。その特徴ともいえるものは、「環境教育」だそうです。以下、その全文(案)を環境審議会の会議資料より転載して、ご紹介します。
<転載部分>
(仮称)小金井市気候非常事態宣言 (案)
~2050年二酸化炭素排出実質ゼロを目指して~
近年、世界各地で熱波や干ばつ、大規模な森林火災など、地球温暖化による異常気象が頻発しています。日本各地でも、猛暑や熱帯夜の増加、記録的な集中豪雨や強大化した台風による 崖崩れや洪水など、甚大な被害が発生しており、このまま温暖化が進行すると、私たちの市民生活に多大な影響が出ることが予想されています。気候変動による気象災害は極めて深刻で身近に迫った脅威であり、私たちの生存基盤を揺るがす、まさに「気候危機」です。
この危機的状況を脱するために、2015年に国連で採択された「パリ協定」では、産業革命前からの世界の平均気温上昇を2℃より十分低く保つとともに、15℃以下に抑える努力を追求する目標が定められています。
しかし、世界の二酸化炭素排出量は今なお増加し続けており、この危機的状況は、私たちの日々の行動が引き起こしているものであることから 、 今こそ、私たちは、気候危機を自らの問題として認識し、経済社会活動やライフスタイルの変革に取り組むなど、気候危機への対策を加速させなければなりません。 この非常事態を切り抜けるためには、「一人ひとりから始める意識改革」と「今すぐ行動する 」ことが何より重要であり、そのために、幼い頃から地球環境に興味を持ち、自ら積極的に取り組もうとする意欲や態度を醸成する「環境教育」 の充実にも注力していきます 。
本市の豊かな自然と 、この美しい地球環境を将来世代に継承するため市 、市民 、教育委員会 、事業者等が協働し、 温室効果ガスの削減を図る「緩和策」と、気候変動による災害から市民を守る「適応策」に本気で取り組むことを共有するとともに、SDGsの目指す持続可能な社会の実現に向けて、2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロとする「ゼロカーボンシティ」の実現を目指し、ここに気候非常事態であることを宣言します 。
令和3年+月 +日
小 金 井 市 長
小金井市教育委員会教育長
<転載、以上>
この太字(私が太字にしました)の部分の「環境教育」の推進と「教育委員会(大熊委員長)」が宣言していることがこの宣言の特徴のようです。ここが小金井らしさなのですと環境審議会でも強調されていました。もちろん、環境審議会の委員からは、「だったら、教育委員会でなく、市立の小中学校など学校全体とする方が良いのでは?」などという至極当然の発言もありました。しかし、何よりなさけないのは、行政(環境政策課)や首長レベルでの環境教育(EE)と気候変動教育(CCE)との違いも理解できていないという現実です。気候非常事態の対策としての教育なら、まず、現実的に実施すべきは、気候変動教育(CCE)です。もちろん。SDG’sなどを環境基本計画に織り込んでいるような環境政策課だったら、持続可能な開発のための教育(ESD)も知っていて当然なのですが、全くその違いすら理解されていません。気候変動教育(CCE)については、以下にニュージーランド在住のフリーランスジャーナリストのクローディア―真理さんの一文(全体は長くなるので、その一部のみを転載します)を是非、読んで、今の小金井の推進、計画している「環境教育」では到底、気候非常事態には対応できないことを理解してもらいたいものです。
<クローディアー真理さんのCCEについての記事より、転載>
(前略)子どもたちに「気候変動教育(CCE)」を通した知識やスキルで、未来に備えてさせてやらねばならない時が来ている。
〇「環境教育」から「気候変動教育」へ
CCEは、「環境教育(EE)」や「持続可能な開発のための教育(ESD)」より認知度が低い。しかしCCEはEEやESDと切り離すことはできない、延長線上にあるものといえる。国連はESDの一部と見なしている。
そもそもEEが初めて登場したのは、1948年、国際自然保護連合の設立総会でのことだったという。当時問題となっていた公害や自然環境破壊について教えるのが目的だった。後に人間活動が自然環境に及ぼす影響がさらに悪化。ESDが誕生した。
ユネスコはESDを、「すべての人々が持続可能な未来の実現に必要な知識、技能、生活態度、価値観を身につけることができる教育・学習」と定義。机上の学習に終わらせず、実践を通して学ぶことを重要視している。
ESDは2014年までの10年間、「『持続可能な開発のための教育』の10年」とし、国連が各国に特に奨励した期間を経ている。
〇知識だけでなく、実行可能な対策の立案までカバー
CCEの特徴はESDでありながら、気候変動に特化している点にある。人間活動がもとで温室効果ガスが排出され、気候変動を引き起こしていることを事実として踏まえ、展開される。CCEが気候変動に関する国際連合枠組条約第6条にも記載されていることからも、その重要性がわかる。
気候変動の原因と影響を理解するのはもちろん、学習者は、現在明らかになっている科学的証拠などの情報をもとに、反対意見にも耳を傾けながら、自分で検討・判断し、結論そして何ができるかを導き出す。
レベルは問わない。小学生から高校生まで教えることが可能だ。自然と自分との関わりから始め、気候変動の事実、貧困など社会への影響、食糧危機、気候変動に対して現在行われている政策や対策、気候変動がもとで脅かされている子どもの権利、CCEの意義などをカバーする。
生徒たちは学校生活をサステナブルなものとするための企画・運営を行ったり、署名運動や啓蒙キャンペーンを実行したり、地域の災害リスク軽減に取り組んだりと、実践的にも学ぶ。
CEは予測がつかない将来、手元にある情報から、どう緩和・適応できるかを考えられる人材を育成するのが目的だ。同時に、社会のさまざまな面に影響を及ぼす気候変動を学ぶことで、学習者に分野・科目の枠組みを超えた視点を与える。
〇子どもに教える際にはポジティブに
CCEを教えることは重要だが、それには難しさも伴う。まず大人が感じでいる脅威をそのまま子どもたちに伝えないようにすべきだ。大人にとり、地球規模であり、多くの要素が絡み合う気候変動は脅威にほかならない。知識や経験を伝えても、「恐れ」まで伝わらないように注意を払う。
子どもたちに与える情報は、教師が用心深く選択し、正しいもののみに絞る。不確かだったり、間違った情報のおかげで、子どもたちが誤解したり、不安に陥ったりしないように気をつける。
また気候変動問題について触れる際には、必ず抑制方法や解決方法も提示し、悲観視しないようにする。将来、子どもたちは気候変動に対処していかなくてはならないことは事実だが、もし迅速に対応すれば、決して結果は危機的なものになるとは限らないことを言い添える。(後略)
<転載、以上>
気候変動による非常事態を学ぶためのコンテンツを真剣に考える時期にきています。本生活環境部会でも設計中の「原子力」学習と並行して、「気候変動」学習を進めていきたいと考えています。その第一弾は、ごみ対策ワーキンググループと水環境ワーキンググループ、環境対応型住宅ワーキンググループを横断させた、小金井地域における豪雨対策としての気候変動学習(CCE)プログラムの予定です。