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小金井市環境基本条例
平成15年3月25日
条例第4号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 基本的な取組(第8条)
第3章 環境基本計画等(第9条―第12条)
第4章 施策の推進(第13条―第24条)
第5章 環境学習(第25条)
第6章 環境審議会(第26条)
第7章 環境市民会議(第27条)
第8章 雑則(第28条・第29条)
付則
前文
私たちのまち小金井市は,武蔵野台地の南西部に位置し,古多摩川が形成した高低二つの段丘に広がっている。これらの段丘を分ける国分寺崖線(はけ)の緑や湧水,野川の水辺空間,先人が築いてきた玉川上水や屋敷林,広大な小金井公園などの恵まれた自然環境の中で,文教住宅都市として発展を続けてきた。
しかし,今日の豊かな生活とそれを支えてきた大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会経済システムは,身近な自然の減少や都市・生活型公害など,様々な環境問題を発生させ,さらには人と生物の生存基盤である地球環境を脅かすまでに至っている。
私たちは,このような事態を招いた社会経済システムを今こそ見直し,自然と共生する循環社会を早急に築いていく必要がある。そのためには,環境問題を自らの問題としてとらえ,日常生活や事業活動においても率先して環境への負荷の低減に努めなければならない。
もとより私たちは,良好で快適な環境を享受する権利を有するとともに,その環境を確保し,次の世代に継承していく責務を有している。
小金井市では,すべての市民が環境について積極的に学習し,人と人とのつながりを深め,人と生物と地球に等しく価値を認める環境倫理を共有しながら,持続可能な社会を実現するため,この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は,環境の保全,回復及び創造(以下「環境の保全等」という。)について基本理念を定め,小金井市(以下「市」という。),市民,事業者及び教育機関の責務を明らかにするとともに,環境の保全等に関する施策の基本的な事項を定めることにより,環境の保全等に関する施策を協働して総合的かつ計画的に推進し,現在及び将来の市民が健康で安全かつ快適な生活を営む上で必要とする良好な環境を確保することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。
(1) 循環社会 有限な地球の中で行う人間のあらゆる活動に伴い消費する物やエネルギーに係る資源を繰り返し,又は様々な形で利用するとともに,廃棄するものを最小限とする意思及び能力を有する社会をいう。
(2) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって,環境の保全等を図る上での支障の原因となるおそれのあるものをいう。
(3) 生物多様性の保全 様々な生物が相互の関係を保ちながら,本来の生息環境の中で繁殖を続けている状態を保全することをいう。
(4) 公害 環境の保全上の支障のうち,事業活動その他の人の活動に基づく生活環境の侵害であって,大気の汚染,水質の汚濁,土壌の汚染,騒音,振動,地盤の沈下,悪臭等によって,人の生命もしくは健康が損なわれ,又は人の快適な生活が阻害されることをいう。
(5) 内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン) 動物の生体内に取り込まれた場合に,本来,その生体内で営まれている正常ホルモンの作用に影響を与える外因性の物質をいう。
(6) 地球環境の保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行,海洋の汚染,野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって,人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
(基本理念)
第3条 環境の保全等は,未然防止の原則の下に,市民が健康で安全かつ快適に暮らす上で必要とする良好な環境を確保し,これを将来の世代に継承していくことを目的として行わなければならない。
2 環境の保全等は,人と自然とが共生し,循環社会を基調とした環境への負荷の少ないまちを実現するため,すべての者が協働することによって行わなければならない。
3 環境の保全等は,地域の環境が地球全体の環境と密接にかかわっていることから,すべての者が日常生活や事業活動において自らの問題として認識し,地球環境に配慮した自発的な取組により推進しなければならない。
(市の責務)
第4条 市は,基本理念に基づき,環境の保全等に関する基本的かつ総合的な計画を策定し,推進する責務を有する。
2 市は,自ら率先して環境への負荷の低減に努めなければならない。
3 市は,環境の保全等に関する施策に,市民及び事業者の意見を反映するよう必要な措置を講じなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は,基本理念に基づき,自らの生活や活動に伴って生じる環境への負荷を低減するよう努めなければならない。
2 市民は,環境に関する情報の収集に努めるとともに,市の施策や地域社会の環境の保全等に資する活動に積極的に参加し,協力しなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は,基本理念に基づき,事業活動に係る環境への負荷の低減,公害の防止及び自然環境の適正な保全を図るため,必要な措置を講じなければならない。
2 事業者は,その事業活動に係る製品その他の物が使用され,又は廃棄されることによる環境への負荷を低減するため,必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
3 事業者は,その事業活動が環境に与える影響等について,情報の提供に努めなければならない。
4 事業者は,市の施策や地域社会の環境の保全等に資する活動に積極的に参加し,協力しなければならない。
(教育機関の責務)
第7条 教育機関は,基本理念に基づき,市,市民及び事業者と連携して,環境教育・環境学習を積極的に推進するよう努めなければならない。
2 大学は,環境の保全等に関する科学知識,技術及び情報を市及び市民に積極的に提供し,基本理念の実現に協力するものとする。
第2章 基本的な取組
(基本的な取組)
第8条 市,市民及び事業者は,基本理念の実現を図るため,次の各号に掲げる取組を協働して推進するものとする。
(1) 緑
ア 樹林その他の緑の保全,回復及び創造に関すること。
イ 農地の保全及び食糧生産に関すること。
(2) 水
ア 河川,湧水及び地下水の保全,水循環の回復並びに雨水利用に関すること。
イ 水質の保全に関すること。
(3) 自然環境
ア 大気,水,土壌,生物等からなる自然環境の保全に関すること。
イ 生物多様性の保全に関すること。
ウ 人と自然との触れ合いの確保に関すること。
(4) 公害の防止
ア 公害の防止に関すること。
イ ダイオキシン類,内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)等の有害化学物質による影響の防止に関すること。
(5) 景観・歴史的文化的遺産
ア 良好な景観の確保に関すること。
イ 歴史的文化的遺産の保全に関すること。
(6) 資源・エネルギー
ア 資源の循環的な利用に関すること。
イ 廃棄物の発生の抑制に関すること。
ウ エネルギーの使用総量の削減,有効利用及び創出に関すること。
(7) 地球環境
地球温暖化の防止及びオゾン層の保護など地球環境の保全に関すること。
(8) 前各号に掲げるもののほか,環境の保全等に関すること。
第3章 環境基本計画等
(環境基本計画)
第9条 市長は,環境の保全等に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため,市民参加により小金井市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を策定しなければならない。
2 環境基本計画は,環境の保全等について,次に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 目標
(2) 施策の方向
(3) 環境基本計画の推進に必要な事項
(4) 前3号に掲げるもののほか,環境の保全等に関する必要な事項
3 市長は,環境基本計画を定めたとき,又は変更したときは,速やかにこれを公表しなければならない。
(環境基本計画との整合)
第10条 市は,施策の策定や実施に当たっては,環境基本計画との整合を図らなければならない。
(環境保全実施計画)
第11条 市長は,環境基本計画を推進するため,小金井市環境保全実施計画を策定するものとする。
(環境行動指針)
第12条 市長は,環境基本計画に沿って,市,市民及び事業者が,環境の保全等に資する行動をとるための環境行動指針を策定するものとする。
第4章 施策の推進
(環境影響評価)
第13条 市は,環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業について,その事業の実施が環境に及ぼす影響を事業者において事前に評価し環境保全の対策をとるため,必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(規制的措置)
第14条 市は,環境保全上の支障を防止するため,必要な規制的措置を講ずるよう努めるものとする。
(誘導的措置)
第15条 市は,市民及び事業者が率先して環境への負荷の低減その他の環境の保全等に資する活動を促進するよう優遇,助成その他の必要な誘導的措置を講ずることができる。
2 市は,事前に十分な調査や研究を行った上で,市民及び事業者が自らの活動や事業による環境への負荷を低減させるよう経済的負担を課すなどの誘導的措置を講ずることができる。
(公害に係る紛争の処理等)
第16条 市は,公害に係る紛争について,迅速かつ適正な解決を図るとともに,公害の原因となる行為に関し必要な措置を講ずるものとする。
(環境に配慮した物品等の購入の推進)
第17条 市,市民及び事業者は,物品又は役務を調達する際は,環境に配慮した物品等の購入に努めなければならない。
(情報の収集及び提供)
第18条 市は,環境に関する情報の収集及び提供に努めるものとする。
(活動等の支援)
第19条 市は,市民及び事業者による環境の保全等に資する活動及び事業を支援するとともに,連携して積極的に推進するものとする。
(国及び他の地方公共団体との協力)
第20条 市は,環境の保全等に関して広域的な取組を必要とする施策については,国及び他の地方公共団体に積極的に提言するとともに,協力して推進するものとする。
(点検評価の実施)
第21条 市は,本条例の理念に基づく環境の保全等の取組の実施状況を点検及び評価し,今後の取組に反映するよう努めなければならない。
2 事業者は,自らの事業活動に伴う環境への負荷の実態を把握し,その低減の取組を点検するよう努めるものとする。
(環境報告書)
第22条 市長は,環境の状況及び環境基本計画等に基づき実施された施策の状況を明らかにするため,毎年度環境報告書を作成し,これを公表するものとする。
(財政措置)
第23条 市長は,環境の保全等の施策を実現するために,必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(推進体制)
第24条 市長は,環境の保全等に関する施策を総合的に推進し,調整するための体制を庁内に整備するものとする。
第5章 環境学習
(環境学習)
第25条 市,市民及び事業者は,環境の保全等について理解を深め,環境の保全等に資する活動を推進するため,自ら環境学習に努めるものとする。
2 市及び教育機関は,環境学習の機会の提供及び広報活動の充実を図るとともに,環境の保全等に率先して取り組む人材の育成に努めるものとする。
第6章 環境審議会
(環境審議会)
第26条 市の環境の保全等に関する重要な事項を調査審議するため,環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき,市長の附属機関として小金井市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は,市長の諮問に応じ,次に掲げる事項を調査審議する。
(1) 環境基本計画に関すること。
(2) 環境の保全等の施策に関すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか,環境の保全等に関する重要な事項
3 審議会は,環境の保全等に関する重要な事項について,市長に意見を述べることができる。
4 審議会は,次の各号に掲げる者のうちから,市長が委嘱する委員10人以内をもって組織する。
(1) 公募による市民 4人以内
(2) 事業者 2人以内
(3) 学識経験者 3人以内
(4) 関係行政機関の職員 1人以内
5 委員の任期は,2年とし,補欠の委員の任期は,前任者の残任期間とする。ただし,再任を妨げない。
6 審議会の会議は,公開とする。ただし,出席委員の過半数で議決したときは,非公開とすることができる。
7 前各項に定めるもののほか,審議会の組織及び運営に関し必要な事項は,規則で定める。
第7章 環境市民会議
(環境市民会議)
第27条 市民,事業者等は,積極的に環境の保全等の活動をするための組織として,小金井市環境市民会議(以下「環境市民会議」という。)を置くことができる。
2 環境市民会議は,環境の保全等に関する施策等について,市長に意見を述べることができる。
3 環境市民会議は,市民,事業者,教育機関に属する者,市職員等で構成する。
4 市は,環境市民会議の活動を支援するものとする。
第8章 雑則
(指導,勧告等)
第28条 市長は,この条例を施行するために必要があると認めるときは,関係者に対し説明もしくは報告を求め,又は必要な指導もしくは勧告を行うことができる。
(委任)
第29条 この条例の施行に関し必要な事項は,市長が別に定める。
付 則
(施行期日)
1 この条例は,別に規則で定める日から施行する。
(特別職の給与に関する条例の一部改正)
2 特別職の給与に関する条例(昭和31年条例第22号)の一部を次のように改正する。
別表第3中
市民健康づくり審議会 |
会長 |
日額 |
11,000円 |
|
委員 |
日額 |
10,000円 |
を
市民健康づくり審議会 |
会長 |
日額 |
11,000円 |
|
委員 |
日額 |
10,000円 |
環境審議会 |
会長 |
日額 |
11,000円 |
|
委員 |
日額 |
10,000円 |
に改める。
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