小金井市環境市民会議
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講演

「海外に学ぶごみ処理の方法〜フランス・ドイツ。韓国〜

講 師 服部美佐子さん
日 時 平成19年4月13日 19:00〜21:00
場 所 上之原会館A室
参加者 市民25名 スタッフ2名(中村・平井)


1. 主催者挨拶、講師紹介(中村)




2. 講師自己紹介

3. 講演


 


 焼却場の立替は焼却減少のチャンスだが、外国の例を小金井にそのまま当てはめるのは難しい。法律やごみの質も違う。海外のごみ処理の方法を紹介するので、参考にしてほしい。

(1) 焼却中心からリサイクルへ、転換を模索する 〜フランス
  パリ市と周辺84市町村の焼却施設があるイブリー市と建設中のイッシー市の施設を紹介する。
 @ イブリー市の例
 ・ヨーロッパでは、大型焼却場と広域処理が多い。 
・フランスには「エコアンバラージュ」という容器包装リサイクルシステムがあり、事業者(中身メーカー)のライセンス料580億円がエコアンバラージュ社に納められ、そのうち493億円が分別収集・保管費用として市町村に拠出されている。 
・イブリー市にあるSYCTOM(民間ごみ処理事業者)の清掃工場には85の自治体が参加。
・パリ市と周辺84市町村(550万人)のごみ250万t/年のうち、新聞・雑誌(10万t)、容器包装(17万t)などの資源を除いた200万tを焼却している。
 ・古紙、紙パック、プラスチックボトル、缶、段ボールを有価でリサイクル業者に販売。
 ・10年間でごみは2割増加。1人1日の焼却量は1160g、資源量は137g。
 ・フランスではパイプラインがあるため、10万世帯に熱供給をするサーマルリサイクルが行われ、熱回収率は70%と高い。
 ・極めて大規模な焼却(550万人分のごみを2ヶ所の焼却場で処理)。日本と同じに考えることはできない。
 ・焼却灰から金属を再資源化している。
 ・多民族、所得の問題からか、古紙とペットを除いて、分別の意識は低い。
 ・パリ周辺で新たな焼却施設を作りにくい、ごみが減らないなどの理由から、ごみ対策の方針を見直し、リサイクルを進めつつある。
 ・焼却からリサイクルにシフトしつつあり、ごみを15%(30万t)減らす計画である。
 ・'07年に15区で紙、包装紙のリサイクル工場建設予定。
A イッシー市の例
 ・環境派の市長で、市民の所得も高いせいか、イブリー市よりごみ意識が高い。
 ・最近できた焼却場は、2/3を地下化して上を公園にしている(800億円)。
 ・炉の15%縮小と最新の公害対策をすることを条件に建設された。煙突がない。
  75000kw/hの発電、熱回収率もよい。
 ・焼却量1t当たり3ユーロの迷惑税を徴収している。

(2) リサイクルは進んだが、新たな課題を抱える 〜ドイツ
@ Duales System
・ドイツでは、ごみ問題は一段落して、今は温暖化対策に力を入れている。各所に風力発電所がある。
 ・Duales System)は、講師がこうなればいいと考えているシステム。
 ・「包装廃棄物規制令」(1991年施行)。
・事業者が収集からリサイクルまで負担(業界が出資したDSD社が代行)。
・DSD社が独占していたが、他社の参入で独占が崩れている。
・リサイクルしにくいものは高くなる。
・ドイツの資源量は400万t。
 ・ドイツでは、缶は少なく、ほとんどがビンとペット。
 ・強制デポジット制。スーパーが自主回収するようになった。
 ・ビン回収は、ビンを回収箱に入れるとレシートが出て、レジで支払いされる。
 ・ペットは手選別のあと、赤外線選別機でPE,PP,PS,PETに分別される。
 A ドイツ全般
 ・市民がごみを持ち込む「リサイクリングホフ」が各自治体にある。
 ・埋め立てができなくなったドイツ。一般廃棄物技術指針(1995年)によりごみの有機物量は3〜5%未満でなければいけなくなった。自治体の対応は二通り。
  →焼却とエネルギー回収(焼却場) 51→58に増加
  →機械生物処理(機械選別+バイオガス化・堆肥化) 20施設建設
 ・ダイオキシン問題はクリアーしたとの認識をしている。
B ハノーファー市と近隣20市町のMBA(堆肥化・発酵→ガス→発電のシステム)
・広域事業体(AHA)が2005年に建設された。110万人分の家庭堆肥化施設、民間の焼却施設も併設。
・30万tの埋立て量を10年で7万tに減らす予定。
 ・MBAは、ごみ量の変化にフレキシブルに対応できる。
 ・今までにない方法なので、トラブルも多く、稼働率は85%くらい。
 ・改良の余地はあるが、将来性がある。
C ハンブルグ市と近郊自治体の焼却施設(MVB社)
 ・リサイクル量は、年間90万tと、焼却量の60万tを上回る。
 ・コンポスト施設(年間2.5万t)、バイオマス発電施設(2万t)が稼動予定。
 ・熱回収率60%。
 ・周辺からごみが持ち込まれ、焼却量は増えている。
 ・焼却場の決定過程が明確で情報公開も優れている。
 ・焼却灰は道路の路盤材などに、飛灰は岩塩の採掘跡地で保管。
 ・コンポスト化も増えている。
 ・リサイクル率は、ドイツ全体で高い。容器政策が進んでいる。
 ・ごみの回収は全種類とも週1回。回収車の作業員は1人、機械化が進んでいる。

(3) ごみ減量・リサイクルへ、新しい政策を進める 〜韓国
 ・EPR制度(2003年)。中身メーカーが収集とリサイクル費用をすべて負担。
 ・一回用品規制(1994年)。レジ袋50%減少。使い捨て容器の禁止。テイクアウトはデポジット制。
・段階的な値上げで効果をあげる有料化(従量制)。1995年1月1日実施。ごみ処理費の約70%をまかなう。95年ソウル市(約1000万人)20リットル270ウォン、04年350ウォン 95年釜山市(約400万人)280ウォン、04年810ウォン(100ウォン8円)。
 ・ごみ量 1人1日1994年1330グラム⇒04年1030グラム。
 ・有料化の価格を状況に対応して値上げするところなどは、日本にも参考になると思う。
 ・生ごみの埋立て禁止(2005年)。3200tの生ごみ→飼料化1800t、堆肥化1200トン、残渣200t。
 ・見学した飼料化施設では、臭気対策は、ほとんどなかった。
 ・韓国では、脱焼却・リサイクルへ。
 ・埋立て処分の行き詰まり→自区内処理(焼却)へ→住民の処理場反対→リサイクルへ。
 ・ごみのリサイクル率は50%(日本は15〜16%)。生ごみのリサイクルが効果的。
 ・法律は良いが、徹底は十分に進んでいない。

4. QA・ディスカッション
 Q 生ごみの飼料化について。日本では異物の混入などで飼料化が難しいと聞いているが、韓国ではなぜ可能なのか。
 A ソウル市でも50%は一般の飼料を配合して無料で配布している。ソウル市では、まだ養豚業が盛んなので、飼料化が進んでいるが、日本の都市部では施設が受け入れや、養豚場までの輸送費など課題が多い。バイオガス化・堆肥化が適しているのではないか。まず、生ごみをどのように収集するかが課題だろう。    
 Q 焼却灰セメントなどはコストが高いので補助金を入れているが、生ごみ飼料と通常の飼料ではどちらが高いのか。
 A コストの問題もあるが、まず、どちらも埋め立てに代わる、ごみ処理対策として捉えるべきである。韓国では法整備をして生ごみのリサイクルを進めている。

 意見 生ごみの課題は、水切りである。
 意見 10年来生ごみは捨てていない。電気を使うことに抵抗はあるが、生ごみ処理機を使用している。
 意見 市民みんなが、きれいな生ごみを出せるかが問題。

 Q 韓国では生ごみが飼料化されるとして、その他のごみはプラスチックだけなのか。
 A 他にもいろいろなごみがある。紙はずいぶん入っている(オムツなども)。プラスチックごみはまだ多い。使い捨て容器の禁止では、食品トレイや菓子袋のようなものまでは規制されていない。回収の努力はされている。ごみの量は、韓国も日本も同じだが、リサイクル率が違う。
 Q 府中にはダストボックスがあるが、違法なすて方への管理をどうしたらよいか。
 A 24時間投入できるボックスがあるので、違法な捨て方をしたり、ごみが減らない。
  多摩川衛生組合の受け入れ量が限界なので、府中市もボックスを廃止し、戸別収集にするという計画だ。
 Q 小金井では、市長選で焼却と脱焼却が議論されている。町田市では戸別の生ごみ処理
  を推進しておりテストが開始され、市民団体へ作業が委託された。生ごみは自宅完結
  型が良いと思う。生ごみの焼却施設は、問題だと思うがどう考えるか。
 A 各自治体が試行錯誤しており、模範解答はない。脱焼却を目指すのはよいが、現在、ごみを燃やしてもらっている市との対外的な問題もある。脱焼却という理念ではなく、焼却しない場合の代替案を知りたい。例えば、小金井市民すべてが生ごみ処理機を使えるようには、ならないだろう。韓国でさえもすべてが処理できているわけではない。
いきなり理想を振りかざすのではなく、現実を見据えて、長期的な構想を立てることが必要。
 Q 田原市では、すべてを炭化して処理している。焼却ではない。
 A 焼却ごみは残ってしまう。ゼロにはならない。対外的にも説得力のある具体的なビジョンが必要。小金井市が早くからリサーチして検討していればいいが、今の状況では時間も限られ、小金井のごみを焼却している他市は納得しないのではないか。
 Q これから焼却場選定の委員会が開かれるが、ガス抜きにならないためにどうしたら
よいか。
 A 国の審議会で体験してきたが、はじめから参考意見として聞くという性格のものが多い。委員として参加する場合は、議事録にしっかり残すよう発言し、行政からも答弁を引き出すようにしないと、形だけの委員会になってしまう。部会を作らせて、市民参加を増やし具体的な提案を出すとよい。
 Q 海外の熱効率(発電率)が高いのはなぜか。
 A 最初に広域の焼却場を作ったときからパイプ給湯の整備をしたから。

5. お礼、閉会(平井)


撮影 写真説明  (平井)

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