1.日時:2009年7月9日(木)9時〜17時 2.場所:千葉県香取郡多古町・桜宮自然公園 【写真】畦道を歩く鳥井報恩さん 3.参加メンバー 大人 7名 4.報告 JR武蔵小金井9:00集合〜芝山千代田11:24着 環境市民会議の関係者と「野川自然の会」会員、計7人で千葉県香取郡多古町にある「桜宮自然公園」の田んぼで、先んじて生物資源型農法を実践しておられる「オリザの会」会長・鳥井報恩さんを訪ねた。 鳥井さんは農業高校の教員時代から有機栽培、無農薬栽培に興味を持たれ、ご自身の実践からも冬期湛水不耕起農法に辿り着くと、この農法の提唱者である岩澤信夫氏の主催する「自然耕塾」に早くから通われ、農法実践の中級者向けの研究グループである「オリザの会」を作られた。 桜宮自然公園の成り立ちは、数人の地権者によって放棄されていた谷津田(里山に挟まれた谷にある田)近くに、産業廃棄物のゴミ捨て場ができるという話をきっかけに田んぼを復活することから始まった。多くの人が訪れやすい公園として整備することで、阻止した市民による私設公園だ。 「オリザの会」は、生物資源型農法を進める農家や自然再生ボランティアグループの実践の場として、全国から集まって来る方々によって運営されている。 地域の学校から子ども達が見学に来ることも多いそうだ。 田植え後1ヶ月あまりを経過した「田んぼの時間」の苗を持参し、根の状態、幼穂(穂になる部分)を見ていただいた後、鳥井さんが実験中の大豆の不耕起栽培苗を見せていただいた。 通年湛水の田んぼを復活してまもなく、絶滅危惧種のニホンアカガエルが増え、夏にはホタルが舞い始めたという。確かに一足ごとにアカガエルが跳ね飛んだ。 慣行農法を行うグループに隣接した「オリザの会」が運営する耕さない田んぼでは、明らかに緑が濃く、見るからにたくましい稲株が風に立ち向かうようにゆれていた。 入り組んだ里山の奥に位置し、形も様々で小さい田んぼが多いが、水源に近いため水は冷たい。冷たい水を温める為、水路をわざわざ田の周りを回してから引き込んでいる。 こうした谷津田は水源を背にしていることが多く、産廃のゴミ捨て場ができていればたちまち水源が汚染された危険性があった。 人の口に入るものを作らなくなり(耕作放棄)、人が通わなくなる(幹線道路ができる)。それだけで、いとも簡単に水の安全は失われる。 生きものに眼差しを向けた農法を拝見しながら、人が集い、環境を見つめることの重要性を実感した見学会だった。
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